お知らせ
2024年度 障害福祉報酬改定による影響調査
ご協力をお願いします!
きょうされんでは今年度「2024年度 障害福祉報酬改定による影響調査」を実施します(前回は2018年度に調査を実施しました)。本調査ではすべての障害福祉サービス事業が対象で、事業所ごとに答えていただく内容です。
本年4月、障害福祉の報酬改定が実施されました。生活介護事業の基本報酬への「時間刻み」導入や、グループホームの基本報酬基準の大幅引き下げなど、多くの事業において大幅な改定がなされたことで、現場からは混乱やとまどいの声が多く寄せられています。
「募集しても応募のない」職員不足はますます深刻さを増し、引き続く物価高騰によって、多くの福祉事業所はきわめて厳しい運営を強いられています。本調査の結果を踏まえ、現状の報酬体系の課題を炙り出すとともに、よりよい制度づくりに向けた要望につなげていけたらと考えております。
政策のあり方を提言する上でみなさまの声が重要です。たいへんご多忙な中だと思いますが、本調査へのご協力をよろしくお願いいたします。
■案内文・調査票 Excelデータ
〈調査対象〉すべての事業(※きょうされん加盟・未加盟は問いません)
生活介護・就労継続事業A型・就労継続支援B型・共同生活援助(グループホーム)は個別の調査票にお答えください
〈締め切り〉2024年10月18日(金)
〈回答方法〉
上記調査票に入力しメールにて返信(※返信先アドレスは案内文記載)
(FAXでの返信の場合 03-5385-2299)
障害のある人の地域生活実態調査 結果公表
きょうされんは、障害者権利条約や統括所見を踏まえ、障害のある人たちの暮らしぶりに前進は見られるのか、障害のある人の所得状況と生活状況を把握し、国の統計などと比較し、格差の実態を明らかにすることを目的に2023年4月~2024年4月に実態調査を行ないました。
この度、その調査のまとめが完成しましたので公開します。ご協力いただいたみなさま、ありがとうございました。
詳細はきょうされんホームページよりご覧いただけます。
コチラから⇒ https://www.kyosaren.or.jp/investigation/26729/
「障害者ビジネス」を放置する国の責任は重大
~株式会社「恵」グループの不正問題から~
2024年7月25日 きょうされん理事会
障がい者の未来をもっと自由に
障がいのある方が安心して福祉サービスを利用し、自立した暮らしができる明るい未来を心から作っていきたい (株式会社恵コーポレーションホームページより)
テレビや新聞等でも大きく全国報道されているように、上記のように自由で安心できる明るい未来を標榜し、障害者グループホーム等を運営する株式会社「恵」(本社・東京 中出了輔社長=34)に対し、愛知県と名古屋市は6月26日、障害者総合支援法に基づいて、同社の運営する27か所の事業所に対し、指定取消等の処分を行ないました。
厚生労働省は、指定取消処分の理由とする食材料費の過大徴収が、同社の本社等による組織的な関与が認められるとし、いわゆる連座制を適用するとしています。「連座制」とは、該当する障害福祉サービス事業者の同一サービス等類型の他事業所等の指定又は更新の拒否につながる仕組みとされ、個別案件に直接関与していなくても統括責任が問われることを示します。
これにより、指定取消処分の効力が発生する日から5年間は、同社及び同社の役員等は事業所の指定更新及び新規の指定を受けることができないこととなります。この問題はいま、全国12都県に飛び火しようとしています。
事の発端は昨年4月、利用者に僅かな食事しか提供せずに過大な食費が請求されているとして、痩せ細る利用者の姿に不安を感じた家族や職員の処遇に不信をもつ関係者からの、同社に関する報酬の水増し請求やネグレクト(虐待)の疑惑等が行政に告発されたことから事案が明るみになりました。
そもそも、2006年から施行された障害者自立支援法(現・障害者総合支援法)で営利企業が事業参入できるようになり、全国各地で不正問題が発生、指定取り消し・効力停止(新規利用者の受け入れ停止など)事業所が増加しています。厚生労働省の資料から過去5年間の総数を見ても、その数は1000件を超え、うち半数以上が営利法人が運営する事業所となっています。今回の件は、その延長線上に起きたものです。「恵」の昨年度総売上高は約66億円、利益は約3億7000万円で、まさにその大半が先述の食材費の過大徴収額に匹敵することになります。
いま、上記の同社が経営する全国約100か所のグループホームなど、事業所を利用する1700人余の障害のある人が暮らしの場を失なうおそれがあり、国は責任をもって対応すべきです。深刻な人手不足に物価高騰、報酬改定の影響などで事業所運営が危機に瀕している状況のなかで、問題解決を地方自治体と民間事業所任せにするのでは、再びこのような事案が起きることは必至です。
本件は、いわゆる「障害者ビジネス」を指定しながら、それを放置する現行障害者総合支援法の根幹部分で大きな欠陥があることをあらためて社会的に浮き彫りにしました。
きょうされんは、障害のある人たちの人権が守られ、安心して事業所を利用できる施設制度の確立を、国(厚生労働省)に対し強く求めます。
【問い合わせ先】
きょうされん事務局
Tel:03-5385-2223
Email:zenkoku@kyosaren.or.jp
2024(令和6)年 3月 11日
きょうされん滋賀支部
理事長 西川 茂
「2024年度障害福祉報酬改定案」についての緊急要望書
厚生労働省ならびにこども家庭庁は、報酬改定検討チームでの検討を踏まえ、2月6日、「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における改定内容」と、報酬単位の新旧対比を含む「概要」、「算定構造」を公表しました。しかし、その内容は多くの問題を含んでおり、終わりの見えない「物価高騰」と、危険水域といえる「職員不足」問題を抱えている障害福祉現場に、多大な衝撃を与えました。
きょうされんは2023年に、多くの障害団体の協力を得て、報酬改定検討への問題提起を目的に、障害福祉事業所の「職員不足の実態調査」を行ない10月24日、記者発表しました。その結果、障害福祉事業所の「職員不足」の厳しい現状が浮き彫りになり、NHKをはじめ多くのマスコミも本調査を報道しました。また「職員不足と物価高騰による負担増を解決する2024年度報酬改定を求める緊急要望」の団体署名にとりくみ、2,286カ所の署名を厚労省に提出しました。署名の自由記載には、障害のある人と支援者の悲痛な叫びが多数綴られ、その全文も厚労省に提出しました。
しかしながら、2月6日に公表された「改定内容」と「概要」は、訪問支援など一部に増額はあっても、物価高騰や職員不足の現状を解決する水準ではありません。また基本報酬の減額は、障害福祉現場の声に応えるどころか、障害福祉サービスの休止や廃止に繋がりかねない内容と水準です。
以上の趣旨を踏まえて、以下の諸点について国に要望していただきたく、緊急に要望いたします。
1.当面の経過措置が設けられたとしても、生活介護や児童の通所事業における1時間刻みの報酬設定は、「時間払い報酬単位」の導入に向かう、制度の後退です。そもそもわたしたちは「日額払い」を見直し、人件費等の固定費を月額払いとすることを求めてきました。併せて、基本報酬の減額と加算による補填ではなく、基本報酬を大幅に引き上げていただくことを、国に要望してください。
2.重い障害や精神障害のある人、高齢の人が多く働いている就労継続支援B型の平均工賃15,000円未満と、「利用者の就労や生産活動等への参加等」をもって一律に評価する報酬体系について、基本報酬の減額を見直し、引き上げていただくことを、国に要望してください。
3.日本の障害施策予算水準は、OECD調査が明らかにしているように、過去20年間遡っても一貫してGDPのわずか1%弱にとどまり続けています。まずは、OECD平均の2%を超える予算水準を実現していただくことを、国に要望してください。
PDFはこちらから 「2024年度障害福祉報酬改定案」についての緊急要望書.pdf (0.17MB)