お知らせ

2024-07-25 09:54:00

「障害者ビジネス」を放置する国の責任は重大

~株式会社「恵」グループの不正問題から~

 

2024725日  きょうされん理事会

 

障がい者の未来をもっと自由に

障がいのある方が安心して福祉サービスを利用し、自立した暮らしができる明るい未来を心から作っていきたい                    (株式会社恵コーポレーションホームページより)

 

 テレビや新聞等でも大きく全国報道されているように、上記のように自由で安心できる明るい未来を標榜し、障害者グループホーム等を運営する株式会社「恵」(本社・東京 中出了輔社長=34)に対し、愛知県と名古屋市は626日、障害者総合支援法に基づいて、同社の運営する27か所の事業所に対し、指定取消等の処分を行ないました。

厚生労働省は、指定取消処分の理由とする食材料費の過大徴収が、同社の本社等による組織的な関与が認められるとし、いわゆる連座制を適用するとしています。「連座制」とは、該当する障害福祉サービス事業者の同一サービス等類型の他事業所等の指定又は更新の拒否につながる仕組みとされ、個別案件に直接関与していなくても統括責任が問われることを示します。

これにより、指定取消処分の効力が発生する日から5年間は、同社及び同社の役員等は事業所の指定更新及び新規の指定を受けることができないこととなります。この問題はいま、全国12都県に飛び火しようとしています。

事の発端は昨年4月、利用者に僅かな食事しか提供せずに過大な食費が請求されているとして、痩せ細る利用者の姿に不安を感じた家族や職員の処遇に不信をもつ関係者からの、同社に関する報酬の水増し請求やネグレクト(虐待)の疑惑等が行政に告発されたことから事案が明るみになりました。

 そもそも、2006年から施行された障害者自立支援法(現・障害者総合支援法)で営利企業が事業参入できるようになり、全国各地で不正問題が発生、指定取り消し・効力停止(新規利用者の受け入れ停止など)事業所が増加しています。厚生労働省の資料から過去5年間の総数を見ても、その数は1000件を超え、うち半数以上が営利法人が運営する事業所となっています。今回の件は、その延長線上に起きたものです。「恵」の昨年度総売上高は約66億円、利益は約37000万円で、まさにその大半が先述の食材費の過大徴収額に匹敵することになります。

いま、上記の同社が経営する全国約100か所のグループホームなど、事業所を利用する1700人余の障害のある人が暮らしの場を失なうおそれがあり、国は責任をもって対応すべきです。深刻な人手不足に物価高騰、報酬改定の影響などで事業所運営が危機に瀕している状況のなかで、問題解決を地方自治体と民間事業所任せにするのでは、再びこのような事案が起きることは必至です。

本件は、いわゆる「障害者ビジネス」を指定しながら、それを放置する現行障害者総合支援法の根幹部分で大きな欠陥があることをあらためて社会的に浮き彫りにしました。

きょうされんは、障害のある人たちの人権が守られ、安心して事業所を利用できる施設制度の確立を、国(厚生労働省)に対し強く求めます。

 

 

【問い合わせ先】

きょうされん事務局

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Emailzenkoku@kyosaren.or.jp


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