お知らせ
きょうされんは、4月12日の衆議院厚生労働委員会で「地域包括ケアシステム強化法案」審議の途中で強行採決されたことに対する抗議声明を発表しました。
地域包括ケアシステム強化法案衆議院厚生労働委員会での可決強行への抗議.pdf (0.12MB)
精神保健福祉法改正案に反対する意見
2017年4月10日 きょうされん
政府は2017年2月28日、「相模原市の障害者支援施設での殺傷事件の再発防止」を改正趣旨に掲げた「精神保健福祉法改正案」(以下、改正案)を閣議決定し、国会上程しました。改正案には、措置入院患者の退院後の支援体制や精神障害者支援地域協議会の設置が謳われています。
きょうされんは、厚生労働省内に設置された「相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止検討チーム」において、再発防止策として措置入院制度の見直しが進められていくことや、社会防衛策の強化につながることを強く懸念していました。
残念ながら、改正案は精神障害のある人への権利擁護を進めるのではなく、時計の針を逆戻りさせるような社会防衛的な方向にあることを指摘し、以下に意見を述べたいと思います。
1.前提の変わった改正案は撤回すべき
改正案が閣議決定される4日前、2月24日に横浜地方検察庁は精神鑑定などを踏まえ、容疑者を「完全責任能力がある者」として起訴しました。被疑者は「自己愛性パーソナリティー障害」と鑑定されており、必ずしも措置入院が必要とは言えません。
しかし、改正案についての議論は、被疑者が「措置入院の必要な者」であることを前提にしています。前提が変わったのであれば、当然ながら改正案は撤回すべきです。
2.社会防衛的な方向性への危惧
誤った前提にもとづく「改正」は様々な問題や矛盾をもたらす可能性があります。例えば、改正案に示されている精神障害者支援地域協議会もその一つです。同協議会については、警察官の参加が明記される一方で、個別ケース検討会議への本人や家族の参加は「必要に応じて」とされ、当事者の立場が軽視されています。さらに退院後も医療の管理下に置かれることが危惧され、精神障害のある人への偏見や社会防衛的な政策の増長につながります。
3.精神科医療の改革こそが求められる
厚生労働省は、精神科医療において隔離や身体拘束が増えていることを発表しました。病気の治療のために入院したはずが、施錠された部屋で過ごしたり、ベッドにくくり付けられることで、患者自身にどのような影響を与えるのか、はかり知れません。こうした状況を引き起こしてしまう大きな要因に、他の診療科と比べて医師も看護師も少なくてよいとする、いわゆる「精神科特例」の問題があります。
また、昨今示されている「重度かつ慢性」の基準も問題です。「重度かつ慢性」とされた人は地域移行の対象からはずされ、地域生活の機会が奪われます。この「重度かつ慢性」の基準を廃止し、地域生活を実現していくという方向性に切り替えるべきです。
今の日本に求められていることは、措置入院制度の見直しではなく、精神科医療の抜本的な改革、すなわち社会的入院の解消や、精神障害のある人への権利擁護の仕組みづくり等です。
今般の改正案には、こうした抜本改革の視点は全くありません。それどころか、少しずつ動き出した「病院から地域へ」という流れに冷や水を浴びせる以外の何物でもなく、廃案とすべきです。
社会保障・社会福祉は国の責任で!
憲法25条を守る 5・18共同集会
<呼びかけ>
誰もが平和でいきいきと希望をもって安心して生きられる社会は、私たち国民みんなの願いです。
ところが安倍内閣は、憲法9条を踏みにじり戦争する国づくりと、憲法25条の実質改憲、社会保障の抑制と産業化を同時にすすめる暴走を加速させています。そして、今国会でも「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」にみられるように、市民のニーズに応えるかのように装いながら国の責任を自治体・地域に丸投げしようとしています。
憲法25条で規定されている国民の生存権を保障する国の責任を投げ捨て、「自己責任」と「営利化」を基本にした「社会保障解体」では国民のいのち・くらしは守れません。
社会保障・社会福祉を国の責任で保障させるためには、大企業や富裕層へ応分の税負担を求めて、憲法に基づく所得の再配分機能を生かして財源を確保することが必要です。
「野党は共闘」の世論と私たちの運動をつなげ、人間らしく生きることのできる社会保障・社会福祉制度を求めて、5月18日に日比谷野外音楽堂に集い、立場や分野を越えてつながり、そして声をあげましょう。
きょうされんは、本集会の趣旨に賛同し、実行委員会に名前を連ねています。
○会場:日比谷野外音楽堂
○日時:2017年5月18日(木)
11:30 開場
12:30 開会宣伝
基調報告・連帯あいさつ
聞いてください!私たちの声を
●暮らしていけない!高齢者の貧困と孤立
●やりがい・喜びのある看護・介護に
●高すぎる国保料(税)・払えない窓口負担
●子どものいのちを守れ!
●働き続けたい!福祉労働者の処遇改善を!
●生活保護過払い訴訟が勝利!
●精神障害者の権利保障を!
●障害者の生活実態から見えるもの
●障害者65歳問題の解消を!
●「『我が事・丸ごと』地域共生社会」は何をもたらすか
14:30 閉会・国会請願デモへ
16:30 国会請願デモ終了(予定)
きょうされんオリジナルのKSブックレットシリーズ初めてとなる「くらし」に焦点をあてたブックレットが完成しました!
今、障害のある人たちのくらしはどうなっているのか、それを支える人たちの想いとは…。
グループホーム、入所施設、居宅支援の実践を収録するとともに、制度面の歴史や課題についてまとめています。
ぜひ、ご一読ください!
[もくじ]
はじめに
卓也さんのまなざし
(社福)さつき福祉会(大阪) 伊藤成康
政孝さんのニヤリ
(社福)さつき福祉会(大阪) 伊藤成康
夢と笑顔のワンルーム
(社福)練馬山彦福祉会 やまびこ三原荘(東京) 渡辺智生
さくらハウスのさくら
(社福)福岡ひかり福祉会 かしはらホーム(福岡) 宮崎玲子
ビデオテープは宝物
(社福)ゆたか福祉会 ライフサポートゆたか(愛知) 今治信一郎
シャワーのお湯の温度
(社福)ゆたか福祉会 ライフサポートゆたか(愛知) 今治信一郎
実践をふまえて視線をあげて
きょうされん居住支援部会 部会長 古賀知夫
障害のある人たちの生活の支援をめぐる現状と課題
きょうされん常任理事 塩田千恵子
おわりに