お知らせ

2021-03-11 12:09:00

【声明】東日本大震災・福島第一原発事故から10年にあたって

2021年3月11日
きょうされん理事会

 先月2月13日夜の福島県沖地震に、10年前の大地震がよみがえって、怖く辛い思いをした人も多くいたはずです。同時に多くの人が「あの時のことを忘れてはいけない」と思いを新たにしたことでしょう。今年2月11日には、岩手県盛岡市で災害公営住宅が完成し、ようやく被災地すべてに災害公営住宅が完成しました。また、福島県では原発事故後に避難指示が出された11市町村に住む人は、事故前のわずか27%に留まる等(1月時点)、原発の深刻な影響が続いています。

 この10年、多額の税金が投入されて、巨大な防波堤が打ち立てられ、「復興」を象徴する研究・開発施設が被災地に建設されました。その仕上げが「復興五輪」とアピールされてきた東京オリンピック・パラリンピックでした。それすらもいまや「人類がコロナに打ち克った証」と書き換えられてしまいましたが。
 一方で、福島県には将来にわたって人が住めないとされている土地が残されています。震災により家族を亡くした孤児への調査(2019年)では、その2割に気分障害か不安障害がみられました。障害のある人の生活も決して元通りにはなっていません。いまだに震災前の場所で再開できていない事業所もあります。移動手段の制約、支援者の人手不足などは解消の見通しがありません。残念ながら、前首相そして現首相が語る「復興」と、わたしたちの考える「復興」には大きな開きがあるようです。

 日本全体を見渡すと毎年のように風水害が発生しています。災害対策基本法の改正に応じて、多くの自治体では要支援者避難名簿が作成されましたが、そのうち避難のための個別計画まで策定できた自治体はわずかです。今国会に提出される予定の改正災害対策基本法では自治体に個別計画策定の努力義務が明記されることになっています。この動きは評価しつつも、実際に災害が発生した時の命を救うための手立ては不十分なままです。加えて、新型コロナウイルス感染症によって避難行動をより困難にさせることが懸念されます。各自治体、各機関の対策を今一度点検することが急務です。

 いま、そしてこの先の暮らしや健康への不安が解消されること。それが「復興」ではないでしょうか。テレビやニュースには流れない、被災地で暮らす人たちの声に耳を傾け、その葛藤や思いを想像すること。それが「忘れない」ではないでしょうか。そして「忘れない」ことが何よりも「復興」への後押しになると信じます。それぞれの場所、それぞれの方法で、できることから始めましょう。

1.3月11日に、それぞれの場所で、東日本大震災を話題に語り合ってください。
2.KSブックレットNo.30「10年目の真実」40周年記念映画「星に語りて」等を通じて、被災地に想いを馳せてください。
3.事業所や支部、各地で、地域とともに、10年目のとりくみを企画しましょう。きょうされんが企画した記憶を残すプロジェクトオンライン企画(4月23日)にぜひ参加してください。
4.障害のある人など災害弱者と言われる人、その家族や支援者への防災・減災にとりくみましょう。まずは身近な自治体における避難のための個別計画、防災計画などの策定状況をチェックしてみましょう。

※東日本大震災の被害は2020年12月の発表で、死者15,899人、行方不明2,527人、震災関連死3,767人となっている。震災関連死の6割は福島県が占めている。

 

pdf 【声明】東日本大震災・福島第一原発事故から10年にあたって(ルビなし).pdf (0.24MB)

pdf 【声明】東日本大震災・福島第一原発事故から10年にあたって(ルビあり).pdf (0.31MB)