お知らせ
本日(2016年5月25日)、参議院本会議で「障害者総合支援法一部改正法」が賛成多数で可決、成立しました。
以下、訴訟団の声明です。
障害者総合支援法3年後見直し法成立にあたっての訴訟団声明
「基本合意・骨格提言・権利条約を実現せよ」
2016年5月25日
障害者自立支援法違憲訴訟団
本日国会で障害者総合支援法「3年後見直し法」が可決成立した。
私たち訴訟団は、本法案に対して、基本合意・骨格提言・障害者権利条約
に基づく法制度実現と懸け離れたものであると強く批判してきた。
重度訪問介護の病院内での利用を認めるなど、一部に評価すべき点がある
ものの、本法は、障害者制度改革の方向性であったはずの、
当事者の声をもとに障害者の基本的人権を支援する新法を制定するという
改革の目標とは程遠い。
まず、骨格提言でも指摘された、障害者が必要な支援を受けながら
地域で自立した生活を営むことが基本的権利である旨定める
権利規定が設けられていない。
また、障害者の定義は依然として、医学モデルである。
改正障害者基本法の規定する社会モデルへの移行をしようという姿勢は
見受けられず、障害名や疾患名によって障害者の範囲が限定される仕組み
が維持されている。
支給決定のあり方に関し、基本合意や骨格提言では、
区分や国庫負担基準によらず、個々人の支援の必要性に即した決定が
なされる仕組みを採用すべきとされた。しかし今回の法改正にあたり、
それに向けた抜本的な検討はなされず、従前の仕組みが維持されている。
一方、65歳を超えた障害者の一部に対して介護保険利用料についての
償還の仕組みを取り入れる点は、一見「改善」のように見える。
しかしながら、この修正法により、介護保険を利用することを望まない
65歳以上の障害者に対して「不利にならないから介護保険に移行する」と
介護保険の強制移行を強い、介護保険優先原則を固定化させる危険を
十分にはらんでいる。
その他の修正事項にしても、小手先の修正に留まり、
基本合意・骨格提言・障害者権利条約の求める障害福祉法制と
あまりにも乖離している。
今回の微修正によって「基本合意・骨格提言・権利条約が実現済み」
である等の弁明をしないよう国に対して強く釘を刺しておく必要がある。
なお、衆議院段階の厚生労働委員会の審議の過程で、参考人質疑の予定
であった日本ALS協会の副会長である患者当事者が、
「時間がかかる」との理由から、障害のない人に差替えられたという問題は、
障害者権利条約に明らかに違反し、本年4月施行の障害者差別解消法の
趣旨を没却するものである。「障害者の意見を十分踏まえることなく」、
障害者自立支援法を施行した結果、
「障害者の人間としての尊厳を深く傷つけた」との反省に立ち、
障害者を中心とした制度改革を進めてきたはずの日本の国会において、
このような事態が起こったことは決して許されない。
参議院段階では同人の参考人質疑が実現したものの、
二度とそういうことが起こらないように望みたい。
私たちは改めて、基本合意・骨格提言・障害者権利条約を
実現するための法制度改革を求めて活動していくことを確認し、
国に対して、そのことを強く求める。
以上
PDFデータはコチラ⇒ 3年後見直し法成立にあたっての訴訟団声明.pdf (0.12MB)