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2017-09-19 11:53:00

政府は2017年2月28日、「相模原市の障害者支援施設での殺傷事件(以下、相模原事件)の再発防止」を改正趣旨に掲げた「精神保健福祉法改正案(以下、改正案)」を閣議決定し、国会に上程しました。わたしたちきょうされんをはじめ、障害者団体の多くは、この改正案に反対の声をあげてきました。この法改正は、第193回通常国会での施政方針演説に端を発しています。

 一方、改正案が閣議決定される4日前の2月24日に横浜地方検察庁は精神鑑定などを踏まえ、容疑者を「完全責任能力がある者」として起訴しました。被告は「自己愛性パーソナリティー障害」と鑑定されており、措置入院したことの妥当性そのものが問われています。このような司法鑑定の結果にもかかわらず、政府は、相模原事件と措置入院のあり方を関連づけた法案を提出しました。

 こうした矛盾を参議院審議で指摘され、法案趣旨(立法根拠)の変更という、前代未聞の事態が生じました。「改正の趣旨」から「相模原市の障害者支援施設の事件では、犯罪予告通り実施され、多くの被害者を出す惨事となった。二度と同様の事件が発生しないよう、以下のポイントに留意して法整備を行う」という文言を削除するものでした。

 このことは政府自らが、相模原事件と精神疾患とは関連性がないことを認めたことになります。当然のことながら、法案趣旨の削除は法案の根拠を失うことです。つまりこの精神保健福祉法改正案は、根拠を失った改正案、廃案になるべき法案になったといえます。しかし、国会審議は強行され、5月17日に参議院を通過、衆議院での継続審議となりました。

 わたしたちはこの改正案の継続審議に抗議し、廃案を強く求めるものです。

 わが国の精神医療制度は、措置入院制度のあり方にのみ、問題があるわけではありません。今回のような、根拠が薄弱な法改正に時間を割いている余裕はなく、もっと抜本的な精神医療制度の改革が求められます。

 わが国の精神医療の問題は、長年にわたる隔離収容中心の政策など、構造的な欠陥に近因するものです。1060カ所の精神科病院などに、29万人もの人たちが現在も入院しています(うち20万人が1年以上の入院、平均入院日数は275日:「病院報告」2015)。これとあいまって、「精神科特例」という特異な医療制度があり、治療のための「入院」ではなく、病院経営のための「収容」となっています。また、約2万人が身体拘束及び保護室に隔離されていることが明らかになりました(厚生労働省調査 2014年6月末時点)。こうした精神医療の問題は、国際的にも著しく低い評価をうけています。さらに国は、精神科病院に入院している人たちに対し「重度かつ慢性」というあらたな基準を設け、長期の入院を正当化しようとしています。「重度かつ慢性」だから地域で暮らせないという考え方は、「社会的入院」の解消を阻むだけでなく、基本的人権を真っ向から否定し、国際的な規範や潮流にも背を向けるものです。

 以上を踏まえ、臨時国会開会後速やかに衆議院上程の精神保健福祉法改正案を廃案とし、同時に、早急に行政並びに立法府の責任において、精神医療制度並びに精神障害関連政策の構造的な改革に着手するよう強く要請します。

2017年9月12日 きょうされん 理事会 

 

pdf 精神保健福祉法改正案の廃案と、抜本的な精神医療制度改革を求める声明.pdf (0.15MB)