お知らせ
本日3月30日(月)、県に対して「新型コロナに関する要望書」を提出しました。
新型コロナに関する要望書(3.30).pdf (0.66MB)
2020年3月30日
滋賀県知事
三日月 大造 殿
きょうされん滋賀支部
理事長 西川 茂
新型コロナウイルス感染症に関する要望書
平素より、障害者福祉の推進にご尽力されていることに心より敬意を表します。
さて、新型コロナウイルス感染症の流行・拡大は多くの国民に不安と混乱を広げています。
障害のある人は平時から健康面や精神面で不安を抱えている場合が多く、万が一罹患した場合には、重篤化してしまう方もおり、今回の事態で不安が増しています。家族も同様に不安ななかで日々生活をしているのが実態です。
一方、障害福祉サービス事業所では様々な対応に迫られながらも障害児者、家族を支えるために懸命に活動を続けています。
きょうされん滋賀支部では会員事業所に緊急アンケートを実施し、それを踏まえて以下のように要望を取りまとめました。私たちの願いを受け止めていただき特段のご配慮をお願い申し上げます。
記
1,予防のための措置について
(1)障害児者、家族への具体的な感染予防策について情報提供を行い、障害のある人にもわかりやすい情報提供の配慮をしてください。
(2)高齢者施設同様、マスクや消毒液等、予防のために不可欠な物資が障害福祉事業所や障害児者、家族に充分供給されるよう特段の措置を講じてください。
①令和2年3月18日付事務連絡の「介護施設等に対する布製マスクの配布」がいつ実施されるかの見通しを、各事業所等に速やかに知らせてください。また、障害福祉サービスを利用していない障害児者や家族にも供給されるよう、国に要望するとともに、県としても措置を講じてください。
②令和2年3月24日付「障害福祉サービス事業所等の新型コロナウイルス感染防止対策費支給要綱」では、令和2年1月16日に遡って適用するとありますが、それ以前に購入したマスクや消毒液についても購入費を支給してください。また、4月1日以降についても同様に支給してください。
2,検査と治療体制について
(1)障害のある人への検査・治療の提供にあたっては、適切に実施されるよう医療機関の整備等の配慮をしてください。
(2)グループホームや障害者支援施設等、集団での生活をする人が感染した場合は優先的に入院できる等、個別に応じた適切な支援策を講じてください。
(3)障害のある人は低所得であることが多いことから、新型コロナウイルス感染症の治療等にかかる費用の助成制度を創設してください。
3,障害福祉事業所への支援について
(1)障害福祉事業所における生産活動も大幅な縮小を余儀なくされており、利用者の工賃等の支払いが困難になる事態が懸念されます。生産活動の損失を補てんするための措置を講じてください。
(2)令和2年3月3日付事務連絡「新型コロナウイルスへの対応に伴う就労継続支援事業の取扱い等について(第2報)」において、就労継続支援B型の工賃については、工賃変動積立金や積立資産を取り崩して補填することになるが、それが困難な場合は、自立支援給付を工賃に充てることができる、とあります。その具体的な活用方法を明らかにしてください。
(3)令和2年3月10日付事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る障害福祉サービス等事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第3報)」において、障害福祉サービス事業所が自主的に休業した場合も市町村が認める場合には報酬の対象となりました。このことを市町に徹底してください。また、具体的にどのような判断のもと対象となるのか、県としてガイドラインを示してください。
(4)臨時休校が広がり、子育て世代の支援員等が出勤できないなど支援の現場で支障が出始めています。支援員不足を補うための追加の人件費が発生した事業所に対し、これを補てんする措置を講じてください。
(5)日中の事業所が休所になった場合、長期にわたってグループホームでの日中支援が必要となります。その際の人件費について補てんする措置を講じてください。
(6)県の強度行動障害者通所特別支援事業における人員配置が、学校の臨時休校における対象職員の欠勤により確保できなくなった場合でも、加算が継続できるよう配慮してください。
4,今後に向けて
(1)新型コロナウイルス感染症の影響で障害福祉事業所等が休業する場合のガイドラインを、専門家の意見を十分に踏まえて作成、公開するよう国に求めてください。
(2)仮に障害福祉事業所に一律の休業を政府が要請した場合、障害のある人の介護にかかる家族の負担が増し、家族全員が心身ともに疲れ果て、最悪の事態にもつながりかねません。障害福祉事業所に一律の休業要請は行わず、個別の判断と対応に対して手厚く支援してください。
(3)新型コロナウイルス感染症による障害福祉サービス事業所や障害のある人の家庭の実態把握を行ってください。
(4)連日発出される事務連絡は、五月雨式で内容も分かりにくくなっています。ポイントを絞って、必要な情報を分かりやすい形式で提供してください。
以上
きょうされん40周年記念映画「星に語りて~Starry Sky~」が、第37回日本映画復興賞『日本映画復興奨励賞』を受賞しました。
日本映画復興奨励賞は、故・山本薩夫監督の呼びかけにより1983年に設立された「平和と民主主義を守り、戦争に反対し、ヒューマニズムの 理念に徹した日本映画界の業績」を表彰する歴史と権威ある映画賞です。
「星に語りて~Starry Sky~」の映画情報は下記URLよりご覧いただけます。
https://www.kyosaren.or.jp/starrysky/
【声明】この事件を忘れ去り
風化させてはならない
~相模原障害者施設殺傷事件の判決は本質に迫っていない~
きょうされん常任理事会
本日午後、2016年7月26日に起きた相模原障害者施設殺傷事件の犯人・植松聖被告(30)の死刑判決が横浜地裁で言い渡された。判決において事件の本質に迫ることがなかったのは、きわめて残念であったと言わざるを得ない。このまま判決が確定すれば、「重度障害者は不幸しか作らない」「意思疎通できない障害者は安楽死させるべきだ」という植松被告の主張と、彼の名前しか残らないのではないか。
本件に係る裁判員裁判では、刑事訴訟法に基づく公判前整理手続により、被告の刑事責任能力が争点とされたが、被害者の家族や裁判を見守る多くの障害のある当事者と関係者からは、量刑の内容と同時に、事件の本質や真相がどこまで解明されるのかに焦点が注がれた。
なぜなら、ひとりの青年を、障害のある多くの尊い命を奪うほどに凶悪な罪人にしてしまった根本的な原因や本質的な背景は何かを明らかにしなければ、また同様な事件の再発が危惧されるからである。しかし、今回の判決は、こうした事件の本質から目を背けた。
わが国の史上最悪とも言えるこの残虐な事件が、障害者施設という現場で起きたことや、発生から今日まで、犠牲となった19名の障害のある入所者をはじめ、45名の死傷者のほとんどが匿名とされたことを想うとき、これで本事件をすべて終わりにしてこのまま風化させてはならない。
なお、被告本人はこれまで、「控訴をしない」と上訴権を行使しないことを表明しているが、申立期間に控訴しなければ、近日中に刑が確定し裁判自体は終了となる。
わたしたちは、二度と同様な事件を再発させないために、仮に判決が確定したとしても、事件を風化させずに、引き続きこの事件の本質解明に向けての分析・研究・学習・討議を内外に呼びかけるものである。
2020年3月16日
【声明】この事件を忘れ去り 風化させてはならない.pdf (0.18MB)
2020年 3月11日
東日本大震災の『10年目』がはじまる…。
KSブックレットNo.30
10年目の真実
~障害のある人たちの東日本大震災 Ⅲ
発刊!
増井祐介・田中香織・濱坂英則 著
◆A5判・64頁 本体667円+税
中学生のとき、神戸の叔母の無事に安堵した彼が 岩手に。
熊本で、直下型地震におびえた彼女が 宮城に。
9年前、東北の事業所支援に参加した彼が 福島に。
三人がそれぞれ東日本大震災の被災地に赴いた。
自らの足と目と耳で現地の“いま”を確かめ、
自分の言葉で話しかけ、貴重な証言に触れ、
目の当たりにした「真実」を、それぞれの感性で活字に込めた。
彼らのどの出会いも、
被災地の「10年目の真実」を雄弁に語った。
このルポタージュが、震災からの復興をみなさんといっしょに考える、ひとつのきっかけになれば幸いです。
声明「東日本大震災・福島第一原発事故から
9年にあたって」
2020年3月11日
きょうされん常任理事会
今日3月11日で、東日本大震災・福島第一原発事故から9年が過ぎました。福島県では3月4日に「帰還困難区域」の避難指示が初めて一部解除されましたが、区域の大半は解除の見通しが立っていません。岩手県や宮城県では、漁業などで震災前の暮らしを取り戻しつつある一方で、高齢化や生活上の困難は残されています。いまだに避難生活を送る人は4万人に上り、震災関連死は3700人を超えました。そのうち24%は障害のある人という報道もあり、震災後の生活においても障害ゆえの困難を強いられていることが明らかになりました※1。障害のある人の死亡率が発災当時2倍となったことを国はどこまで検証したのでしょうか。そして、わたしたち一人ひとりは、これまでの暮らし方をどうふり返り、どんな生き方を選んできたでしょうか。
この9年の間、日本の各地で災害がたびたびおこりました。時を同じくして、社会福祉施策が「自助」「共助」へと変質していくなかで、災害時においても「自己責任」が強調されています。障害者権利条約第11条では、自然災害を含む「危険な状況において」「障害者の保護及び安全を確保するための全ての必要な措置をとる」ことを締約国に求めています。11条に則して、避難所や仮設住宅におけるバリアフリーや合理的配慮を確保すること、要支援者の避難のための個別計画を策定、実施することなどは、来る大災害の前に解決すべき政策的な課題です。
昨年、「平成」から「令和」と年号が改まり、目下、「復興五輪」と称した東京オリンピック・パラリンピックに向けた官民を挙げてのキャンペーンが推進されています。今も脇にフレコンバックが広がっている道路を聖火リレーのランナーが走る、それを「復興」と呼べるのでしょうか。他方、毎年行なってきた追悼式がコロナウィルスの感染拡大を理由に中止となり、また今後投じられる予定の復興予算は大きく減らされています。
いま、わたしたちに求められるのは、こうした祝賀と祭典に乗り遅れまいと駆け出すのではなく、家族との生活やふるさとを奪われた人たち、声を上げることができずに困難に耐えて暮らす人たちに想いを馳せることではないでしょうか。
被災地では今日も目に見えない放射能の恐怖とたたかい、目の前の人の暮らしを守るために奮闘している人たちがいます。震災前の生活を奪われたまま、必死に仕事にとりくむ障害のある人たちがいます。その姿をどれだけ想像することができるか、想いを寄せ続けることができるか。
これは、被災地だけの問題ではありません。わたしたちの問題なのです。それぞれの場所で、できることからとりくんでいきましょう。
1.各地で上映が展開されている40周年記念映画「星に語りて」をぜひ観てください。また、最新刊KSブックレットNo.30「10年目の真実」をぜひ読んでください。
2.支部や事業所、各地で、地域とともに、10年目に向けたとりくみを企画しましょう。
3.各地の避難行動要支援者名簿や避難のための個別計画、防災計画などの策定に積極的にかかわり、障害のある人や家族、支援者の防災・減災にとりくみましょう。
声明「東日本大震災・福島第一原発事故から9年にあたって」.pdf (0.18MB)